西本智実withラトビア国立交響楽団

指揮者の西本智実さんが、ラトビア国立交響楽団
全国ツアーを行っている。
1月19日から31日までの13日間で、何と12公演!
これは、ワールド・コラボレーション2010年の、
最初のツアー。
6月にリトアニア国立交響楽団
11、12月に、再びラトビア国立交響楽団とのツアーが
予定されている。
ラトビアリトアニアは、1991年にソビエト連邦から独立した
ヨーロッパ東部の国々。
一方、西本さんは、ロシア国立サンクトペテルブルク音楽院に留学。
広いロシアの中でも、サンクトペテルブルク
ラトビアリトアニアと非常に近い位置関係にある。
私が聴いたのは、オール・チャイコスフキー・プログラム。
ロシアの作曲家、チャイコフスキーの作品を、
このような指揮者とオーケストラで聴くのは、興味深い。
しかも、この寒い季節に聴くのが、特に良い。
交響曲第4番」。
激しい音で開始され(序奏)、
苦悩に満ちたメロディーが奏でられる。
深く表現される絶望、悲哀。
チャイコフスキーは、支援者のフォン・メック未亡人に、
この序奏が「運命」を表す、と手紙で知らせた。
実は、この交響曲を作曲中、
面識も無い女性から強く求婚され、
押し切られるように結婚したものの、すぐに破綻、
モスクワ川で自殺を図った、という事情もあった。
その後、フォン・メック未亡人の資金援助のおかげで、
弟に連れられ、イタリアのサンレモに滞在、
この曲のオーケストレーションは、終了した。
終楽章は、活気溢れる主題で始まり、力強く締めくくられる。
「運命」に打ち克ったのだ。
チャイコフスキーはフォン・メック未亡人に、
幸福はなお存在する、と綴った。
西本さんは、苦悩から歓喜に至る物語を、
ドラマティックに作り上げた。
感情を真っ直ぐに表す、野性味豊かな音楽。
生命力溢れる終結部では特に、
西本さん自身のみなぎるパワーが、心に迫る思いだった。
今回の西本智実withラトビア国立交響楽団の全国ツアーは、
1月31日まで行われる。

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