スミ・ジョー リサイタル 2011

世界デビュー25周年を迎えた韓国出身のソプラノ歌手、
スミ・ジョーの来日ツアーが行われた。
私が聴いたのは、東京オペラシティコンサートホールでの公演。
まず、ヘンデルの歌劇『アルチーナ』より「また私を喜ばせに来て」。

1曲歌い終わると、聴衆の大きなどよめきが湧き起こった。
こんな経験は初めてだ。
皆、あまりのすばらしさに、思わず何か口走らせずにはいられない、
といった様子なのだ。

圧倒的、という言葉がぴったりで、ヘンデル、パイジェッロ、
ヴィヴァルディ、デラクァ、グノー、ドリーブ、プロッホによる、
今まであまりなじみのなかった曲ばかりの第1部も、
大変面白く、わくわくして聴くことができた。

黒髪、黒い瞳スミ・ジョーのすばらしいコロラトゥーラを聴いているうち、
国や民族、人種や時代、文化、伝統…というものを超越する
不思議な感覚が芽生えた。
彼女の歌にいざなわれて、音楽の魅力の新たな一面を発見する思いだった。