横山幸雄さん プレイエルによるショパンピアノ独奏曲全曲演奏会

ショパン生誕200年の記念の年、昨年2010年に始まった
プレイエルピアノによる全曲演奏会の最終公演を聴いた。
横山さんは、ショパンの命日である10月17日にシリーズを開始、
全12回の演奏会を、1年に渡り行った。
特に大震災の後は、チャリティー・コンサートとし、
公演の収益の一部を、義援金として寄付し続けている。
フランスのプレイエル社のピアノを、
ショパンは好んで弾いたという。
創業者のプレイエルは、ショパンを支援し、
死の前年、1848年のパリにおける最後の演奏会を開くことに、
力を尽くしたことでも知られる。
今回のシリーズで、横山さんが上野学園・石橋メモリアルホールで演奏したのは、
1910年製のプレイエルピアノ。
ショパン1810年生まれ、このピアノは1910年製、
このシリーズが開始されたのは2010年なので、
ショパンの生年とシリーズ開始年とのちょうど中間の年に、
このプレイエルピアノが製造されたということになる。
木目が生かされた、あめ色のプレイエルピアノは、
フォルムがとても美しく、優雅なたたずまいだ。
ピアノのサイズはあまり大きくないが、
低音では想像以上に厚みのある豊かな響きがして、驚いた。
シリーズ最終公演(第12回目)、2011年10月17日のプログラムでは、
ショパン晩年の作品群が並べられた。
プログラムの最後に舟歌、アンコールで子守歌、
この2曲を続けて、プレイエルピアノで聴くことができ、
とても幸せだった。
プレイエルは丸く、まろやかな響きで、
舟歌や子守歌での、高音の細かく連なる音の粒は、
まるで柔らかい光を帯びているかのようだった。
このプレイエルピアノによる横山さんのショパン全曲集CD(全12巻)も、
とても意義ある企画だ。
舟歌が収録される第12巻は、来月11月23日に発売予定。
心から期待している。