海原純子さん著 「こころの格差社会」

日本で初めて女性の健康管理にストレスマネージメントを踏まえた
クリニックを開設した心療内科医であり、
また、ジャズシンガーとしてライヴ活動も行っている
海原純子さんの著書、
「こころの格差社会 ーぬけがけと嫉妬の現代日本人」。
私がとても感銘を受けたのは、
海原さんが患者さんに向き合う中で考えたことなどに留まらず、
この本では、日本の因習的なものの考え方、
日本社会とアフリカ、インド、イギリス社会などとの比較、
心理学者のマズロー、臨床心理学者のミンデルや河合隼雄など、
様々な学者の説を紹介し、読み手の視野を広げてくれることだ。
”勝ち組のゆううつ 負け組のいら立ち”、
”コミュニケーションが何故うまくいかないか”、
”ぬけがけと嫉妬の日本社会”、
”格差時代を幸せに生きる”、
”自分らしい人生”。
本は、5章から成っている。
海原さんは
「幸せにすぐ慣れて、幸せだと思えなくなる心理は何故?」と問いかけ、
「欠乏感を埋めることは、幸せにつながらない」、
「外的条件を追い求めるベクトルを心の内にむける」など、
心のありようについて、ヒントを与えてくれる。
「心を外にむけるのでなく、体と心の内側にむけて対話するには、
 意識を手放し無心になることが必要である」。
自分ひとりの時間を持って、自分に向き合い、
また、他人と比較したり、結果のみを追い求めるのではなく、
プロセスそのものを楽しめることを行うこと、
これが自分を大切にし、より良く生きるための第一歩になる、と語る。
読み進めながら、私自身について振り返った。
つい数年前までは、目の前のことを行うだけで精一杯。
残業の多かった時期には、夜遅く、リビングの椅子に腰を下ろすと、
もう晩ごはんを食べる気力もわかず、茫然と過ごしていた。
日々について、何をすれば自分は楽しいか、など考えたこともなかった。
コンサートには行っていなかったし、曲もほとんど作っていなかった。
ブログも書いていなかったし
(ちなみに、来月の文化の日が、当ブログ2周年記念日です!)、
YouTubeのチャンネルも、持っていなかった。
自分のしたいことについて、あまり考えられなかった数年前より、
今現在は、ずっと充実感に満ちている。
自分の活動を、やっと始めたばかりだが、
着実に続けていけば、
人生がより良くなるという予感がする。
さらに、自分の活動を通じて、
多くの人々と楽しさを共有できたら、
どれほど幸せなことかと思う。