10周年記念公演 朗読の日

「春過ぎて〜、夏来にけらし白妙の〜、
          衣ほすてふ天の香具山〜」。
舞台の上で代わる代わる百人一首を詠む声が、
会場に朗々と響き渡ります。
6月15日(金)から17日(日)の3日間、銀座・博品館劇場で、
「10周年記念公演 朗読の日」というイベントが行われました。


古典、詩、絵本、近代・現代の作品・・・、
小学校1年生の児童から80歳の方まで、
150名以上の方々が、朗読を行ったとのことです。


百人一首では、朗読と歌の現代訳紹介が並行して行われたので、
歌の情景がわかりやすく、ゆったりとした気持ちで、
百人一首の世界を味わうことができました。
子どもの頃は、かるた取りをするために、
頭で歌を覚えたものでしたが、
こうして、情景や作者の気持ちを思い描きながら、
言葉の美しさや、朗読する方ひとりひとりのリズムや響きを
心で味わうのはとても楽しく、
大切なものを取り戻すように感じました。

また、学生さんたちが朗読する「3行ラブレター」では、
詩のカギを握る言葉が最初明かされず、
朗読する声の明るさや翳り(かげり)、テンポなどから、
何の言葉が入るのか想像する趣向となっており、
とてもユニークな企画だと思いました。


この会を主催したのは、NPO日本朗読文化協会 。
「朗読を通して社会貢献する」という大きなテーマのもと、
終戦の日の催し「平和への祈り」、
東日本大震災被災地でのボランティア朗読会、
震災遺児支援のためのチャリティ朗読会など、
幅広い活動を行っています。



(加賀美 幸子さん。協会の朗読名誉会長、元NHKエグゼクティブアナウンサー)


百人一首を選び、現代訳をし、朗読の指導を行った加賀美さんは、
「ひとりひとりの味」が朗読では大切、と教えてくれます。
加賀美さんは、次のように語ります。
「作者の心と読み手の心の、両方を出すのです。
 いにしえを振り返るのではなく、今をどう読み取るか。
 どう自分が読んで、どうとらえ、
 どう表現するのか。
 自分の心、自分の言葉、自分のやり方で読みます。
 ただし、ひとりよがりではなく、
 人に届ける気持ちで・・・」。

作者の心ばかりではなく読み手の心をも出す、ということが、
とても印象に残りました。
詠み手の心に思いを馳せ、
自分が読む時は、自分の心を出す。
私も朗読の世界の豊かさ奥深さを、探求していきたいと思います。

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NPO日本朗読文化協会 http://www.rodoku.org/