憎しみは、この世からなくならないのか

憎しみは、なくならない。
ブロードウェイミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」が
1957年に初演されてから、何十年もたった。
学生の頃、映画版で観た時は、強い衝撃を受けながらも、
これは遠い異国の、どこかの街角の物語なのだ、という感覚でいた。
ところが3年前、そして今回、舞台上演を観たのだが、
観れば観るほど、ジェッツとシャークの敵対と死闘というものが、
まるで今、そこで起こっているかのように、身近に感じられるようになった。
居場所がないという苛立ちから生まれる、異質な者への憎しみ。
相手を抹殺しなければ居場所が奪われる、という激しい焦燥感。
音楽が、ダンスが、素晴らしければ素晴らしいほど、
どうにもならない殺伐としたものが
噴き出してくる。
明日はもっとよくなる、という淡い期待をぶち壊す
深い絶望感。
彼らに、居場所を。
私たちに、居場所を。
居場所があって初めて、他者と穏やかに向き合うことができる。
たとえ理解し合い、手を取り合うまでに至らなくても。