「THE ハプスブルク」展

「THE ハプスブルク 華麗なる王家と美の巨匠たち」が、
六本木の国立新美術館で行われている。

 「ベラスケスもデューラールーベンスも、
  わが家の宮廷画家でした。」

女帝マリア・テレジアの肖像画の横に、このセリフ。
展覧会チラシがカッコいい。

中世から第一次世界大戦まで、
脈々と続いたハプスブルク王朝。
ヨーロッパの3分の2、さらに中南米
領土になった歴史を持つ地域は広大だ。

ルネサンスのジョルジョーネ、ティントレット(共にイタリア)、
北方ルネサンスデューラー(ドイツ)、バロック
ベラスケス(スペイン)、ルーベンス(フランドル)・・・
ハプスブルク家コレクションの、なんと見事なこと。

けれど大家の作品群の中にあってなお、特に印象的だったのは、
「11歳の女帝マリア・テレジア」(メラー 1727年)。
マリア・テレジアは、23歳から40年間も帝国を治め、
16人もの子を産み、パルマ公、ナポリ王、フランスのルイ16世に、
娘たちを政略結婚させた。
フランスに嫁がせた十一女は、後に悲劇の王妃となった
マリー・アントワネットだ。

今まで私は、マリア・テレジアの、いかにも女帝といった
貫禄たっぷりの肖像画しか知らなかった。
しかし、今回の11歳の時の肖像画には、驚かされた。
マリア・テレジア姫の、こちらを見つめる知性あふれる瞳。
柔らかく巻いた長い髪、淡いばら色をした頬。
凛々しく気品に満ちた姿に魅了される。
この少女は、やがて女帝として波乱万丈の人生を送る。
それを思うと、いっそう感慨深い。

ところで、若き日のマリア・テレジアが、父・皇帝や母、
二人の妹、夫のフランツと楽しんだデザートの食器一式が、
何ともゴージャス!

「シャーベット用センターピース」

炎の形をイメージさせるデザインの、燭台(しょくだい)にも似た
白い優美なスタンドから、六方に伸びた腕に、
シャーベットをのせる6枚のお皿が、つり下げられている。

スタンドもお皿も、透かし模様の入った白地に、
金の繊細な装飾が施されている。
さらに皇帝一家、6名の肖像が、貝殻で創られた
カメオのひとつひとつに彫刻されている。

「THE ハプスブルク」展は、12月14日まで。

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