クヴェレ・クァルテットのコンサート

JTが育てるアンサンブルシリーズ」の
記念すべき第50回目に、
クヴェレ・クァルテットが出演した。
プロデューサーは、東京芸術大学教授で
チェリストの山崎伸子さん。
クヴェレ・クァルテットのメンバーは、
東京芸術大学の3年生、2年生になったばかりの、
若さ溢れる音楽家たち。
ヴァイオリンは、長尾春花さん、伊東真奈さん、
ヴィオラは中村翔太郎くん、チェロは山本直輝くん。
満席のJTアートホール アフィニスで、
ハイドンメンデルスゾーングラズノフ
室内楽が演奏された。
普段から一緒に学んでいる仲間同士だからであろう、
皆、のびのびと弾いている。
曲が終わるたびに、パッと顔が輝き、
笑みがこぼれる。
互いを見かわすまなざしに、深い信頼感が見て取れる。
プロデューサーの山崎さんも演奏に加わった、
グラズノフ作曲「弦楽五重奏曲イ長調Op.39」が
特に心に残った。
ヴィオラ、チェロも大活躍、各楽器の美しい音色を、
思い切り堪能することができる。
グラズノフ(1865〜1936)は、
ロシアのペテルブルクに生まれ、
晩年をパリで過ごした作曲家だ。
ロシア国民楽派のひとりのリムスキー=コルサコフに師事、
若い頃、西ヨーロッパに旅行中、
ドイツで晩年のリストに会い、認められた。
ロシア国民楽派チャイコフスキーの次の世代として、
ロシアの音楽界でリーダー的役割を担い、
ペテルブルク音楽院の院長も務めた。
「ライモンダ」、「四季」などのバレエ音楽が有名。
「弦楽五重奏曲」は、とてもロマンティックで、
豊かなメロディーに満ちている。
もっと演奏される機会があれば良いのに、
という感想を持った。
曲の始まりは、ヴィオラ・ソロによって奏でられる。
中村くんのヴィオラは、芯のある艶やかな音色で、
音楽の扉を押し開けてみせる。
その後も要所要所で、ヴィオラが鍵を握る。
今回、ヴィオラの魅力を再認識した人は、
たくさんいたであろう。
長尾さん、伊東さんのヴァイオリンはとても美しく、
息もぴったりで、
二人が高音で夢見るような旋律を奏でている時には、
しあわせな気持ちでいっぱいになった。
チェロの山本くんには大きな存在感があり、
師である山崎さんが期待を寄せることにも、
充分納得できる。
四人の演奏からは、音楽を愛するひたむきな気持ちが
まっすぐに伝わってくる。
クヴェレとは、ドイツ語で「泉」。
泉のように音楽が湧き出すアンサンブルを
目指しているという。
非常に高いテクニックと強い絆を
すでに持っている四人。
クヴェレ・クァルテットの今後が、
とても楽しみだ。

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長尾春花さんの東北関東大震災・救済復興支援チャリティーCDの
ご案内は、2011年3月29日の記事で、ご覧いただけます。
また、レコーディング・シーンの動画は、当ブログの
2011年3月27日の記事で、ご覧いただけます。
また、当ブログの、2009年12月22日2010年12月31日2011年2月15日の記事も
ご覧下さい。

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中村翔太郎君(ヴィオラ)出演の動画、"Green Garden"と、"Green Road"を
2011年4月19日の記事、「第11回 試聴コーナー」で、どうぞお楽しみください!

また、当ブログ2010年2月19日の記事、
若き音楽家、宇野健太君、中村翔太郎君、藤井杏子さんの座談会!」も
ぜひご覧ください。