ジェフ・ベック 来日ツアーコンサート

ギタリストのジェフ・ベックのコンサートが、
東京国際フォーラムで行われた。
先ごろリリースされたアルバム
「エモーション・アンド・コモーション」に
収められた新曲が紹介された。
スタジオ録音されたアルバムとしては、
7年ぶりだという。
映画音楽、クラシックの曲が存在感を放っていたが、
ジェフがこのようなジャンルを取り上げることは、
今まであまりなかったようだ。
映画『オズの魔法使い』から「虹の彼方に」、
オペラ『トゥーランドット』から「誰も寝てはならぬ」。
この2曲では、アーミングという奏法を使い
音や和音全体のピッチをなめらかに変化させて、
メロディーを紡ぐところがある。
ジェフのアーム操作のタイミングは絶妙で、
メロディーの流れが美しい。
また、アーミングを用いた「虹の彼方に」の高音部分は、
とてもギターで弾いたとは思えないほど、
透明な音で柔らかい雰囲気だった。
ボリュームコントロールも見事で、
これもギターとは思えないような、
変化に富んだ豊かな響きを醸し出していた。
特に「誰も寝てはならぬ」では、
まるでオペラ歌手が歌っているかのような抑揚があり、
心を動かされる。
この2曲では、キーボードによる
オーケストラサウンドの伴奏が演奏され、
ジェフのメロディーをドラマティックに盛り上げた。
さて、先の2曲とは打って変わり、
ハンマーヘッド」は迫力満点。
ベースとのユニゾンもキマる。
腹にズンとくる響き、キレの良いリズム、
何よりベースを弾いている女性自身のカッコよさ。
この女性ベーシストのロンダ・スミスは、
アルバム制作に参加したメンバーとは異なるが、
力強くスピード感溢れるチョッパーは、
男性ベーシスト顔負けだ。
ジェフはステージを歩き回り、
機嫌よく陽気にしゃべりながら、プログラムを進めた。

(ベースはロンダ・スミス、キーボードはジェイソン・リベロ
ドラムはナラダ・マイケル・ウォールデン)

ジェフ・ベックは65歳!
そんな風には、まるで見えない。
エレキギターサウンドの様々な可能性を追求、
ハードロックから、クラシックのオペラ・アリアまで披露。
もはやロックギタリストというものを超えた存在であろう。