「マネとモダン・パリ」

前回、5月18日にご紹介したとおり、
三菱一号館美術館が、先月オープンした。
開館記念として「マネとモダン・パリ」という
展覧会が行われている。
館長の高橋明也氏によると、この美術館は、

”「近代都市と美術」をテーマに、
19世紀から20世紀初頭の美術を巡る
展覧会開催を活動の中心にし、
複雑な近代都市に生きる芸術家たちが、
社会との緊張関係の中から生み出した
多彩な美術に焦点を当てていく”

とのことだ。

今回マネ(1832〜1883)の作品の中で、特に心に残ったのは、
「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」(1872)、
「死せる闘牛士」(1864頃)。
両方とも、モデルの服の黒の印象が強烈だ。
深みがあり、黒なのに華やかささえ感じられる。
マネはパリ生まれであるが、ルーブル美術館で研究したのは、
主にベラスケス、ゴヤなどのスペイン絵画だったそうだ。
二人とも、作品に黒を使ったことが特徴的であるが、
マネの黒は、また違うように感じられる。
19世紀という時代や、パリという都市が育んだものなのか。
マネの黒は、黒でありながら、
光の存在を感じさせるのである。