アルフォンス・ミュシャ展

三鷹市市制60周年を記念して、
「生誕150年記念 アルフォンス・ミュシャ展」が、
三鷹市美術ギャラリーで行われている。
アール・ヌーヴォーの旗手」と呼ばれる
ミュシャ(1860〜1939)はチェコ生まれ。
20代後半でパリに出て、
有名なポスター画家となる。
パリ時代のミュシャの絵においては、
女性の長い髪も
ドレスのひだやリボンも
華麗な装飾性を持っている。
これらの絵を一瞬で捉えることは、
私には難しい。
女性の魅力的なまなざしをしばらく見、
顔の周囲を飾る花々や、
細やかな模様を見、
それから長い髪やドレスのひだやリボンの
緩やかなリズムを持つ
柔らかく流れるような曲線の行方を追う。
その営みは、まるでヴァイオリンのたえなる調べに
聴き入るかのよう。
ミュシャの絵は、線と色彩による音楽のように感じられる。
幻想的な煙を立ち上らせる巻きタバコを手にする女性、
また、熟れたぶどうの豊かな房を抱える女性。
こられは巻煙草用紙<ジョブ>や、<シャンパン・ホワイトスター>を宣伝するポスターであるが、
その女性たちや煙、花などを前にして、
しばし歩みを止め、たたずむ。
絵の中に、美しい時間を感じる経験であった。