ショパン伝説のラストコンサート (東京公演)

ショパン伝説のラストコンサート
 in Paris 1848.2.16」という、
興味深いコンサートが開かれた。
チラシの説明には、次のように書かれている。
芥川賞作家、平野啓一郎が4年余りの歳月をかけ、
 フレデリック・ショパンの人生を紐解き、
 描いた歴史大作『葬送』(新潮社)が、ついに具現化!
 『葬送』第二部冒頭から約100ページに渡って描かれる、
 パリでの生涯最後のコンサート。
 (中略)
 伝説的に語り継がれる歴史的一夜を、
 可能なまでに再現した今までにないショパン企画。」
東京公演の出演は、高橋多佳子さん(ピアノ)、
崎谷直人さん(ヴァイオリン)、新倉瞳さん(チェロ)、
そして平野啓一郎さんご本人である。
ショパンは1849年に、39歳という若さでこの世を去るが、
パリで行われた「ラストコンサート」は、
病に冒された彼の、死の前年に行われたものだ。
このコンサートの直後、パリは2月革命の勃発で大混乱に陥り、
ショパンはイギリスのロンドンに渡った。
しかし、病状はますます悪化。
冬になる直前にパリに戻るが、回復の手立てはなく、
翌年の死へと至るのである。
「ラストコンサート」では、ショパン晩年の作品、
舟歌」(作品60)、「子犬のワルツ」(作品64-1)、
「チェロ・ソナタ」(作品65)などのほか、
モーツァルトの作品も演奏されたようだ。
ショパンの弾くモーツァルトのピアノ作品とは、
どのようなものだったのだろう…。
平野さんは『葬送』で、ショパンが死に至る3年間、
1847年から49年を描いた。
ステージで、平野さんが、小説の中の
「ラストコンサート」を描写した一節を朗読。
作家自身の朗読に、会場は静まり返り、
物語の世界に引き込まれる。
朗読が終わると、ピアノが奏でられる。
150年以上も昔のパリのコンサートに、思いを馳せる。
『葬送』を読んだピアニストの高橋さんが、平野さんに
「なぜ、ショパンのことがこんなにわかるの?」と尋ねた時の
平野さんの答え、
「愛です」が、とても印象的だった。