野村萬斎さんの新春狂言「隠狸」

野村萬斎さん主演の新春狂言「隠狸(かくしだぬき)」が、
小平市民文化会館で行われ、
老若男女で埋め尽くされた会場は、始終明るい笑いに包まれた。
萬斎さんが演じるのは、利発な家来の太郎冠者(たろうかじゃ)。
太郎冠者は、狸(たぬき)を釣るのが大得意。
(釣るという表現が、面白いですね!)
主人の目を盗み、山に出かけては狸を釣り、
市で売って儲けている。
いろいろないきさつの中で、主人に、
「狸など釣ったことはない」と言った太郎冠者だが、
主人がこっそり来ているとは知らず、
また、市に大狸を売りに出かけ、
主人に出くわし、びっくりする。
太郎冠者は、狸が主人に見つからないよう、
腰の目立たないところにぶら下げるが、
主人は太郎冠者に酒を勧め、舞いを所望する。
狸が主人に見つからないよう、気を配りつつ舞う
太郎冠者の姿が、なんとも滑稽だ。
ここで舞うのは、「兎(うさぎ)」。
もちろん、今年が兎年だから、
萬斎さんは、この演目を選んだのだ。
萬斎さんが、くるりひらりと舞うたびに、
衣装の背中に描かれた、大きな兎の絵も舞い踊る。
一緒に舞いに加わり、なんとか狸を見つけようとする主人と、
酔っ払いながらも、絶対に見つけられまいとする太郎冠者。
けれども、とうとう見つかってしまい・・・。
とても面白い芝居だが、解説を担当した
三浦裕子さん(武蔵野大学客員教授)の話によると、
太郎冠者が主人に隠れて釣った狸を市で売る、
つまり、アルバイトをして財を成すということは、
下克上のイメージにつながるという。
そのような見方をすると、この芝居の意味することは、
だいぶ変わってくるのだろうか。

 ♪ ♪ ♪

Mansai Nomura performed "Kakushi Danuki", as a new year Kyogen play.
He acted Taroh-Kaja who was good at hunting.
His comical dance made us laugh and happy.