中村翔太郎くん(ヴィオラ)出演のチャリティーコンサート

ヴィオラ界の新星、中村翔太郎くんの出演するコンサートが、
上野の東京文化会館小ホールで行われた。
NHK交響楽団コンサートマスター篠崎史紀さんが
芸術監督を務める「東京ジュニアオーケストラソサエティ」。
その支援をするチャリティーコンサート、
「卒団生とともに奏でる室内楽演奏会」だ。
芸術監督の篠崎史紀さん(ヴァイオリン)、
講師でNHK交響楽団のフォアシュピーラーの桑田歩さん(チェロ)、
卒団生で高校3年の青木尚佳さん(ヴァイオリン)、
同じく卒団生で大学3年の中村翔太郎くん(ヴィオラ)の4人が
ステージに登場。
師弟が並ぶ様子はほほえましく、
特に青木尚佳さんの可愛らしさに引きつけられるが、
実はこの卒団生たちは、すでにすばらしいキャリアを持っていて、
師弟を超えた音楽的信頼関係も、充分に築かれている。
ヴァイオリンの青木尚佳さんは、小学生の頃からTVに出演、
NHK交響楽団とはパガニーニのヴァイオリン協奏曲第一番を共演して
デビューを飾った。
ヴィオラの中村翔太郎くんは、コンクールで優勝などの実績を重ね、
現在は、NHK交響楽団のエキストラとして演奏に加わっている。
ドヴォルザーク作曲の弦楽四重奏曲アメリカ」。
まずヴィオラによって、朗らかなメロディーが奏でられる。
チェコの田舎で、肉屋の跡取り息子として生まれたドヴォルザークは、
音楽を志し、貧乏と闘いながら修業。
苦労の末成功し、ニューヨークのナショナル音楽院の院長にと招かれ、
意気揚々と海を越えて、アメリカに渡る。
この「アメリカ」の自筆譜の表紙には、
アメリカでの作曲2号”と記されているという。
その希望に満ちた、躍動的な第1主題だ。
なお、ドヴォルザーク自らがヴィオラの名手で、
若い頃、ヴィオラ奏者として楽団に所属し、
生計を立てたほどであったことも、
この曲の魅力の秘密だ。
中村くんのヴィオラは明るい響きで、
メロディーを豊かにふくらませ、
この作品の、これからの展開を期待させる。
ヴィオラ特有の温かい響きが、
ドヴォルザークの心情を伝える。
第1ヴァイオリンの篠崎さんの演奏には、
大変説得力があり、この作品の深みを
改めて教えてくれる。
篠崎さん、桑田さんという熱意ある先生方によって、
若い二人は、のびのびと弾いており、
聴く側にも、演奏する喜びが
大きな波動のように感じられた。

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中村翔太郎君(ヴィオラ)出演の動画、"Green Garden"と、"Green Road"を
2011年4月19日の記事、「第11回 試聴コーナー」で、どうぞお楽しみください!

また、当ブログの2010年2月19日の記事
2010年4月16日の記事2011年1月11日の記事もご覧ください。