アール・クルーのライヴ

アコースティック・ギター1本で、
豊かなサウンドを聴かせてくれるアール・クルー。
遊び心いっぱいのメンバーと共に、
ブルーノート東京に登場した。
35年前、1976年に発表したデビューアルバム"EARL KLUGH"から
さわやかで軽快な'Wind And The Sea'、
そして一番最近出した"The Spice of Life (2008)"から
ちょっと神秘的な'Ocean Blue'。
長い年月、アコースティック・ギター1本で貫いてきた、
今や60歳近いアール・クルーの軌跡をたどる。
ギターで、よく響く美しいハーモニーを奏でながら、
メロディーラインを際立たせるのは、とても難しいという。
卓越したテクニックと共に、音の感覚のすぐれたセンスが
あって始めてできることなのだろう。
実はアール・クルーは、ピアニストでもあるので、
他のギタリストにはない、独特のセンスがあるのではないか。
("The Spice of Life"でも、キーボードを担当している曲がある。)
共演したネルソン・ランジェルの活躍が、印象に残った。
ソプラノ・サックス、アルト・サックス、フルート、ピッコロ、と、
楽器を次々に持ち替えて演奏した上、
さらに'SONORA'で、とても高く澄んだ音で
口笛を吹いたことには、驚いた。
(この口笛版'SONORA'は、ネルソン・ランジェルのアルバム
"MY AMERICAN SONGBOOK Vol.1"の中に、収録されているが、
とても情感に溢れている。)
アンコールになってようやく、アール・クルーは
ソロ演奏を披露した。
達人の奏でるギター・ソロの豊かな響きに包まれ、
温かい気持ちでいっぱいになった。