クヴェレ・クァルテット”プロジェクトQ・第9章”の演奏会に出演!

当ブログでも度々紹介している、実力派ヴァイオリニストの長尾春花さん、
ヴィオラ界の新星、中村翔太郎くんがメンバーであるクヴェレ・クァルテットが、
”プロジェクトQ・第9章 若いクァルテット、ハイドンに挑戦する
ハイドン:「プロシア四重奏曲」全曲演奏会”に出演した。
”プロジェクトQ”とは「若いクァルテットの発掘と育成を目的とした
日本におけるクァルテット振興プロジェクト」とのことで、
約10年前から、ベートーヴェンバルトークなどのテーマに基づいて、
活動がなされてきた。
2011年度は、ハイドン作曲の「プロシア四重奏曲」全6曲を、
6組のクァルテットが演奏。
一流の講師陣による、公開マスタークラスを受講した後、
本番と同じ石橋メモリアルホールで試演(トライアル・コンサート)、
そして本番の”全曲演奏会”に出演する。
これらマスタークラス、トライアル・コンサート、
全曲演奏会の模様は、全てUstream配信され、
各クァルテットがどのように勉強し、完成度を高めていったのか、
軌跡を辿ることができる。
クヴェレ・クァルテットの現在のメンバーは、
長尾春花さん(第1ヴァイオリン、東京藝術大学)、
山本美樹子さん(第2ヴァイオリン、東京藝術大学大学院後期博士課程)、
中村翔太郎くん(ヴィオラ東京藝術大学)、
山本直輝くん(チェロ、東京藝術大学)。
メンバー全員が、ソリストとしても長年活動しており、
それぞれに素晴らしい個性の持ち主だ。
クヴェレ・クァルテットが演奏したのは、ハイドン作曲の
弦楽四重奏曲第45番ハ長調作品50-2。
ハイドン(1732〜1809)は、古典派と呼ばれる時代において、
弦楽四重奏曲というジャンルを開拓、基礎を築いた。
それがモーツァルトベートーヴェン
そしてやがてロマン派の作曲家たちによって受け継がれ、発展し、
たくさんの独創的な作品が登場することになるのである。
プログラムには、クヴェレ・クァルテットからのコメントが記載されている。
 「ハイドン弦楽四重奏曲は、シンプルにできている分、
  様々な工夫を施して演奏しなければ、
  ただ綺麗なだけで終わってしまうということを、
  公開レッスンを受けて、改めて痛感した。
  私たちなりに、無限の種類や可能性を感じ、
  朗らかなハイドンを表現したいと思う」。
この言葉通り、クヴェレの演奏からは、メンバー全員で研究、練習を積んだことが、
明らかだった。
若いクァルテットでは、第1ヴァイオリンがのびのびと奏でるものの、
他の楽器群は伴奏にとどまってしまう、ということがありがちだが、
クヴェレの演奏では、各楽器が持ち味を発揮し、
緊密な、そして温かく息の合ったアンサンブルを作り上げていた。
音量、音色の変化などによる緊張、弛緩のメリハリが抜群で、
聴いていてどきどきしたり、ほっとしたり。
ハイドンのユーモアも伝わってくる、いきいきとした演奏だった。
音もとても美しく、音楽のよろこびをたっぷりと味わった。
特に私が好きなのは、演奏が終わって、メンバーたちがにっこりと
うなずき合うシーン。
何べん見てもほほえましく、胸が熱くなる。