本田直之さん著 「LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。」

タイトルの“Less is more.” とは、建築家ミース・ファン・デル・ローエの言葉、
“より少ないことは、より豊かなことだ”。



ワークライフバランス」から「ワークライフハピネス」へ。
“お金や時間や場所から自由になるように、仕事と遊びの垣根もなくなる”
と考える本田直之さんは、次のように述べる。



“「ワーク」と「ライフ」両方の「ハピネス」を目指す。
 仕事と人生の境目はもちろん、仕事と遊びの境目もありません。(中略)
 生きていることが仕事になっていて、いつまでも自分が必要とされる、
 まさに幸せな終身労働のイメージです”。



本田さんは本書の執筆にあたり、
世界の国々の「幸福度ランキング」(ギャラップ 2010年)で上位を独占した
北欧を取材旅行し、人々の生の声を聞いた。
上記の「幸福度ランキング」上位の国々は、
デンマーク(1位)、フィンランド(2位)、ノルウェー(3位)、スウェーデン(4位)。
日本は、何と81位という、とても低い幸福度である。



北欧は、日本より税などの負担率が重く(北欧6〜7割近く、日本4割程度)、
物質的にも豊かとはいえない。
なぜ日本の幸福度はこれほど低いのか。
本田さんは、“アメリカ的な物質至上主義が幸福感につながらなくなったのではないか”、
“古い価値観のままでライフスタイルをつくっていくと、
幸せではなくなってしまうのではないか”と考える。



本田さんは“自由に生きるための「新しい幸せ」10の条件”を提示。
まず第1に、“仕事を楽しんでいる”。
第2に、“いい仲間、いい家族がいる”。
私は6番目の“時間を自分でコントロールできると感じている”も、重要と思う。
やはり“やらされている”ことからくる忙しさ、つらさ、あせりは、
重大なミス、うつ病、自殺につながってしまう。



10項目の「新しい幸せ」を実現するため、本田さんは、
自由に生きるために変えること、捨てることを提案する。



“お金をモノに変えるのではなく、スキルをお金に変えていく(無のものから価値を生み出す)”、
“節約から選択へ”、
“目の前の昇給より個人ブランドのアップ”、
“自分にとって大事なことは何かを絞り込む”。



そして“自由を与えられるということは、自己管理をしなければならなくなったということ”、
“自分のライフスタイルをしっかりもつこと”、
“労働時間は短くなっても、より多くの成果を上げて、
仕事もプライベートも満たす”ことについて、
わかりやすく説明がなされる。



あちらこちらに散りばめられた北欧の人々の声が、印象的だ。



“社会には、生きるために働かなきゃならない人と、
 働くことが面白いから生きている人、
 2つの種類の人がいます。
 私は、仕事をするのが面白いから、そのために働いているんです”。
 (ウェブデザイン会社に勤務するデンマーク人)


“友だちと遊んでいても、釣りをしていても、
 頭の中にアイデアがよぎることがありますね。(中略)
 毎日が仕事で、毎日が休みみたいなものですね”。
 (家具デザイナーのフィンランド人)


最後に、本田さんの理想。


“個人としてのパワーやビジネスのスキルを身につけ”、
“ワークスタイルとライフスタイルを融合させる”、
“いつしかライフスタイルがコンテンツになり、仕事に変わり、
 いいスパイラルを生み出す。
 これが一番の理想だと私は思っています”。