オペラ「アイーダ」 (ヴェルディ作曲)

ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラの映像が、
約1ヶ月後、早ければ2週間後に、日本全国10ヶ所の映画館で
観ることができる。
「NYメトロポリタン歌劇場 METライブビューイング2009-10」、
9つの作品が上映される。
トスカ、トゥーランドットばらの騎士カルメン・・・など、
人気の演目。
アンナ・ネトレプコルネ・フレミングバルバラ・フリットリ
ロベルト・アラーニャプラシド・ドミンゴ・・・など、
最高の歌手たち。
高音質、高画質の迫力ある映像。
これからオペラに親しもうという人も、気軽に行かれる。

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ヴェルディ作曲の「アイーダ」を観た。
エジプトに敗れたエチオピアの王女アイーダは、身分を隠したまま、
エジプトの王女アムネリスに、奴隷として仕えている。
エジプトの若き将軍ラダメスは、敵国の王女とは知らず、
アイーダを愛している。
ラダメスを自分のものにしたいアムネリスは、
彼とアイーダの仲に気づく。
一方、エチオピア王アモナズロも捕虜になるが、
再びエジプトに攻撃するため、
アイーダを利用しようとする・・・。
古代エジプトを舞台としたこの悲劇は、
なんとフランス人のエジプト考古学者が、古都メンフィスを
発掘したことを契機に書いたという。
第2幕で、エチオピアに勝利したラダメスが凱旋する場で、
勇壮な大行進曲が、大合唱つきで演奏される。
その際、「エジプト・トランペット」という
単純な形の細長いラッパが使われる。
これは「アイーダ・トランペット」とも呼ばれ、
映像の中でもクローズアップされていたが、
古代エジプトで実際に使われており、
今でも博物館に残っているそうだ。
この凱旋の場、ソニヤ・フリゼルの演出では、
巨大な舞台セットの上に、何百人もの人々、
そして本物の馬を登場させ、
豪華絢爛な世界を作り上げている。
舞台を支えるエキストラの人々へのインタビューが、とても面白い。
指揮はダニエレ・ガッティ、配役はヴィオレッタ・ウルマーナ(アイーダ)、
ヨハン・ボータ(ラダメス)、ドローラ・ザジック(アムネリス)など。
特にザジックの表現力がすばらしく、
猜疑心、嫉妬、嘲笑、渇望、不安、怒りなど、
アムネリスの感情の激しさを、見事に表していた。
「命を助けるから、アイーダを忘れて!」と
ラダメスに迫る場面の、凄まじさ。
それでも受け入れてもらえないことへの絶望。
ドラマティックな高音から、うめくような低音まで、
自在に操っている。
ザジックへのインタビューも興味深い。
METライブビューイング「アイーダ」は、12月4日まで。

METライブビューイング:オペラ | 松竹

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また、世界文化社の「DVD決定版 オペラ名作鑑賞(1) アイーダ」という、
DVD 2枚付きの本も、オススメだ。
DVDの1枚目は、ミラノ・スカラ座の1985年上演版で、
マゼールが指揮、パヴァロッティ、キアーラなどが出演。
DVDの2枚目は、デビューしたての18才のソフィア・ローレン
アイーダを演じ、テバルディが歌の吹き替えをしており、
日本では未公開の映画だという。

http://www.sekaibunka.com/opera/index.html