第54回 NHKニューイヤーオペラコンサートを聴いて

アイーダ」の合唱、「エジプトとイジスの神に栄光あれ」で始まり、
「こうもり」の合唱、「ぶどう酒の燃える流れに」で締め括られた
今年のニューイヤーオペラコンサート。
プッチーニの「トスカ」、「トゥーランドット」、「ボエーム」、
ヴェルディの「椿姫」、R.シュトラウスの「ばらの騎士」、
有名で親しみやすい作品が多く、
オペラが初めての人も、楽しめたことだろう。
オペラの楽しさ、音楽の喜びを、
コンサートや放送を通じて、
様々な世代の人々に、もっともっと伝えてほしい。
国や民族、宗教間の対立、抗争や、
美しいものから、邪悪なものまでの、様々な人間心理。
沢山の要素が、オペラでは、
ドラマティックな歌と音楽に乗って迫ってくる。
長い年月を経ても、なお上演され続ける作品には、
やはり魅力があり、説得力があり、
解明できない謎がある。
平和だけれど元気を失っている日本に生きる私たちだが、
とんでもなく理不尽な事件が起こるオペラの物語などを契機に、
人の気持ちの複雑さについて思いを巡らせたり、
思うに任せぬ人生について、じっくり考えるのも良いのでは?
多くの人が、このような体験を沢山積むことができれば、
人間関係や世の中が変わってくるかもしれない。
マクベス」の堀内康雄さん、「椿姫」の大村博美さんが、
それぞれのオペラの世界観を表現していて良かったと思う。