シテ方観世流 小早川 修さん主催 「第十一回 修能会 ー業・祈りー 」 (お知らせ)

シテ方観世流の小早川 修さんが、国立能楽堂にて、
第十一回修能会を開催します。
出演するのは、日本の伝統文化を担う、第一人者の方々です。
小早川さんからのご案内を、原文のままご紹介します。


”今年もあと半月となりました。ただでさえ寒さの厳しい被災地を思うと胸が痛みます。
さて、今週の日曜日、12/18(日)に第11回修能会を主催させて頂きますので、ご案内申し上げます。

此度の大震災は、「何のために能をやるのか」今一度考えさせて頂く大きなご縁となりました。
これまでも能は、死者を蘇らせてその思いを語らせ、御霊を鎮め、同時に世の中安穏なれと祈り続けて参りました。
人間存在そのものの業をも描き、それを引き受けて生きて行かなければならない厳しさも教えてくれます。
今回は、僭越ながら「業・祈り」をテーマに開催させて頂きます。

「求塚」にありますように、一日一夜に八億四千の煩悩を起こしてしまうと言われる人間の業。
しかしこの現実から目を背けて生きて行くことはできません。
謙虚に現実を自分の人生として引き受け、それぞれができることを精一杯させて頂き、
手を携えて一歩一歩前へ進み続けるしかありません。

どろどろの煩悩の中に、美しい蓮の華の咲かんことを、
そして世界中の祈りの波動が集まってうねりとなり、
高砂」にある草木土砂、風声水音まで、万物に心の籠もる美しい日本の自然が、
「草の祈り」の最後のように新しい命が吹きこまれ、一日も早く戻らんことをひたすら祈りながら演じさせて頂きます。

師走で気忙しい頃とは存じますが、ゆったりと能楽堂で時間をお過ごし頂ければ幸いです。


12月18日(日) 於 国立能楽堂 第11回修能会

【第1部】能楽堂で竹管の響きを 午前11時開演 終了正午頃

尺八本曲 「霧海篪(むかいじ)」 尺八 善養寺惠介
長唄より 篠笛独奏 「黒髪」 篠笛 福原徹
男声独唱・笛・尺八のための三章 「草の祈り」  蓬莱泰三作詞 福原徹作曲  小早川修・福原徹・善養寺惠介

【第2部】  伝統的な能会 午後1時開演 終了予定6時頃
解説 西野春雄
仕舞「箙」 小早川康充
能「高砂」 小早川泰輝 武田祥照 野口能弘 山本則重 武田志房 浅見真州 藤田次郎 田邊恭資 柿原弘和 梶谷英樹
狂言「栗焼」山本東次郎 山本則孝
仕舞「融」浅見真州
能「求塚」小早川修 浅見慈一 馬野正基 野口敦弘 山本東次郎 野村四郎 観世銕之丞 一噌庸二 成田達志 亀井忠雄 三島元太郎


第1部は、芸大時代からの友人である福原徹氏と同窓の善養寺惠介氏をお迎えし、能楽堂で竹管の響きを味わって頂こうというもの。
お二方とも文化庁芸術祭受賞者という大変素晴らしい演奏家
能楽堂倍音がよく響くため、邦楽器には大変恵まれた音響空間だと言われております。
その空間を能以外のジャンルでも味わって頂きたいと思います。

「草の祈り」は、蓬莱泰三氏(「中学生日記」などの脚本家)の詩に福原氏が作曲されたもの。
死にゆく兵士が母への思いと平和への祈りを語ります。
初演以来好評で、能楽堂では今回が初演。
光栄にも私の声をイメージしながら作詞して下さったという作品です。

今回は動きや照明も入れ格段と進化したものとなり、
リハに立ち会ってくださった蓬莱先生にもお喜び頂きました。
「この作品は、装束もつけてやりたいですね。」
と仰った方があるくらい能に近いものがあります。

尺八と笛だけで、これだけの世界が描けるのか、
今更ながら福原氏の才能や、善養寺氏の腕にも感嘆しています。
第二部の伝統的な能会はもちろんですが、
少しでも多くの方にこの「草の祈り」も知って頂きたいと思います。

第2部は、伝統的な能会です。
今回も第一線でご活躍の素晴らしい諸先輩方や仲間達にご出演頂きます。
長男泰輝(藝大3年)、次男康充(中学2年)も出演させて頂きますが、
若者らしい時分の花を見せてくれれば、と願っております。
狂言は東次郎先生に、息子達の師匠の真州先生には、
お手向けの曲としても謡われる「融」の仕舞をお願い致しました。
素晴らしい先生方の至芸をお楽しみ下さい。

私は大曲「求塚」に挑戦させて頂きます。
二人の男に同時に求婚され悩み入水する女を演じます。
男達はその跡を追って刺し違え、女は八大地獄を永遠にさまよい続けます。
万葉の古代、早春の明るさ、乙女の眩しさの裏にひそむ人間存在の業。


【料金】下記の定価料金を、このブログの読者には、一割引とさせて頂きます。

第1部:S・A席4,000円  B・C席3,000円  学生各1,500円引き

1部・2部を通してご鑑賞のお客様は、1部は無料とさせて頂きます。

第2部:S席10,000円  A席8,000円  B席6,000円 C席4,000円 学生各2,000円引き


お申込は、小早川のサイトのお問い合わせ・お申し込みフォームより。
http://kobayakawa3.web.fc2.com/

「「菊子とアートな生活を」を見て」とお断りくださり、ご希望席・枚数・お名前・ご連絡先をお知らせ下されば、
当日その方のお名前で、受付にチケットを一割引でご用意させて頂きます。


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