2日目の朝、ゆっくり歩きながら、再び興福寺に向かいました。
朝の光の中、心が洗われるような気持ちに。
興福寺国宝館は、2010年にリニューアルされたばかり。
ガラスケースが除かれ、多くの仏像に直接向かい合うことができます。
照明が控えめで、厳かな雰囲気。
大きな像が、こちらに迫ってくるように感じられます。
有名な阿修羅像(国宝)には、訴えかけるような、
本当に生身の少年のような表情があり、
いにしえの人々の切実な思いが伝わってくるようです。
国宝館の後は、奈良国立博物館へ。
今晩は、東大寺二月堂で行われるお水取りを見学に行くので、
「特別陳列 お水取り」を真剣に見ました。
ボランティアのおばちゃんの説明の詳しさにはびっくり。
お水取りの見所などが、よくわかりました。
展示物を全て見終わったじんこさんが、
みんなより一足先に、外に出て・・・!
興福寺五重塔の姿を水面に映すという、猿沢の池
お水取り「お松明(たいまつ)」の写真。
火の粉舞い落ちる様に、今晩の期待が高まります。
近鉄奈良駅前の行基像噴水が、すがすがしく
阿修羅像を描いた、興福寺国宝館看板
光満ちる興福寺東金堂(国宝)
ひなたぼっこする鹿たち
鹿せんべい屋さんにおねだり?
危険! 鹿に注意
奈良国立博物館へ
「特別陳列 お水取り」の看板。
この絵は「東大寺曼荼羅」(個人蔵)
情緒あふれる路地。じんこさんものんびりと・・・
ずうずうしくも、じんこさんより大きく写る鹿!
♪ ♪ ♪
「じんこさんと鹿事件! 」
じんこさんが、次のエピソードを紹介してくれました。
『興福寺で、“魑魅魍魎(ちみもうりょう)が灯篭を担いでいるの図”の
絵ハガキを買いました。
(あの方にピッタリだわ♪ きっとよろこんでいただけるにちがいないのだわ♪)
悦に入って、大切にダウンコートのポケットにしまいました。
興福寺の次に、奈良国立博物館に行きました。
博物館を見学し、お水取りについて勉強し、
博物館前のベンチでほっと一息ついていたときのことです。
シカが一頭、近づいてきました。
(シカが寄ってきたなぁ)と思った次の瞬間でした。
シカのやつ、1センチ、1センチですよ、たった1センチ、
ポケットから頭をのぞかせていた絵ハガキをひょいとくわえて、
走って逃げたではありませんか!
自慢するわけではありませんが、私は駆けっこが遅いのです。
小学校の頃、毎年、運動会の日程が発表されると、
両親が先にため息をついたくらいです。
小学校6年間のうち、1回だけ、ビリから2番になったことがありました。
それは前の人がころんだからです。
持久走では、校庭を何周か走って、前のひとがゴールしたので、
(やった、終わったぁ)と思ったら、先生から「もう1周だぞ」と言われました。
校外マラソンでは、前のひとを見失って道に迷いました。
やっと学校にたどり着いたら、みんな整理運動を終えて、教室に帰っていました。
そんな私が、シカの逃げ足にかなうはずがないではありませんか!
ちなみに、私の隣のベンチのひとたちは、ヤキイモを袋ごと奪われていました。
父にその話をしたら、父は学生時代、学校祭のイベントでヤギを放したら、
学園祭のちょうちんを食べられてしまったそうです。
絵はがきをシカに喰われた! シカたない 』
筆者注・魑魅魍魎(ちみもうりょう)とは、山の怪物や川の怪物。
様々な化け物、妖怪変化。魑魅は山の怪、魍魎は川の怪であり、
一般には山河すべての怪として魑魅魍魎の名で用いられることが多い。
(Wikipediaより)