おめでとう!長尾春花さん。東京藝大弦楽科を、首席で卒業!

当ブログでも、たびたびご紹介している
若手実力派ヴァイオリニストの長尾春花さんが、
この春、東京藝術大学音楽学部弦楽科を首席で卒業、
学内にて安宅賞、アカンサス音楽賞を受賞しました。
4月20日に行われた藝大定期 第350回〔藝大フィルハーモニア定期〕の
「新卒業生紹介演奏会」では、母校の奏楽堂に、
みずみずしいヴァイオリンの調べを、響き渡らせました。

春花さんが演奏したのは、チェコの作曲家ドヴォルジャーク(1841〜1904)が、
1879〜80年に作曲した「ヴァイオリン協奏曲 イ短調」。
家業の肉屋の跡取りとなることを拒否し、貧しさと闘いながら音楽の勉強を続け、
ようやく「スラヴ舞曲 第1集」(1878年作曲)で大成功したドヴォルジャークが、
楽家として、広く世に認められるようになった時期の作品です。
ボヘミア的な彩りあふれるこの曲を、
春花さんは、多彩な音色を繰り出し、いきいきしたリズムに乗せ、
豪快に演奏しました。
指揮者のボストック先生の肩ほどの、可愛らしい春花さんが、
ステージ中央に立ち、ひとたび弓を降ろすと、
冒頭から、その迫力ある演奏に、心が強く揺さぶられます。
また、春花さんはプログラムの中で、次のように述べています。
 「今のところ私は、この2楽章が世界一美しい2楽章だと思っています」。
穏やかな第2楽章でのメロディーの歌わせ方から、
春花さんの音楽への愛情が、沁みるように伝わってきます。
高音が透き通るように美しく、その響きに、自分も溶け込むような思いがします。
第3楽章では、すばらしい技巧で、音楽の楽しさ、生きるよろこびを、
たっぷりと堪能させてくれました。
聴衆のブラヴォーに包まれ、瞳を輝かせていた春花さん。
明るいオレンジ色のドレスも素敵で、まさに春の花のようでした。
春花さんはこの4月より、東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程1年に在学。
また、学部在学中から、シンフォニエッタ静岡のソロコンサートマスターとして
活躍しています。
これから、どのような演奏を聴かせてくれるのか、ますます楽しみです。
今回の「新卒業生紹介演奏会」では、
チャイコフスキー作曲「ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調」を演奏した
ピアノ科首席卒業の實川 風(じつかわ・かおる)くんも、
聴衆の熱烈な支持を得ていました。
また、作曲科を首席卒業した網守将平くんのオーケストラ作品、
“Lunatic Camera 〜for Orchestra〜”は、
プログラムに掲載された本人の解説によると、
「オーケストラを別の視点から扱い、聴き手である現代人の感覚に直接訴えかけ、
意識を覚醒させるという目的で作曲されている」という意欲作です。
春花さんは、實川くんと共演したり、網守くんの新曲の初演を手がけたりしており、
若い音楽家たちの今後の活躍には、大きな期待が寄せられています。
おめでとう、春花さん!


長尾春花さんの公式ホームページ