自分の心の悲鳴に気づいてください!

待ち合わせをしていた書店で、文庫の棚を眺めていたら、
加藤諦三さんの著書が目に飛び込んできた。
”「本当の自分」はどこにいる 自分探しの心理学”。
すぐに手に取り、数ページ読み、購入を決めた。
加藤さんによると、「自分探し」には、ふたつある。
「本質的自分探し」と「状況的自分探し」である。
「本質的自分探し」の必要な人とは、毎日イライラし、
生きるのが理由もなく苦しく、
自分が自分でないような感じがする人、
自己イメージを間違えている人、
不得意なことで頑張り過ぎ、
燃え尽きてしまう人。
「状況的自分探し」の必要な人とは、
自分の選んだもの(職業、結婚相手など)が、
自分に適していなくて、苦しんでいる人、
頑張っても頑張っても、努力が報われず、
辛いだけで結果が出せない人。
「本質的自分探し」の心理は不安、
「状況的自分探し」の心理は焦り。
また、「本質的自分探し」では、自分の心の中に問題があるので、
何よりも自分の心の中を見つめることが先。
「状況的自分探し」では、自分と外側の両方に問題があるので、
外側の環境を変え、自分に適した環境を探すことが
第一であるという。
ふたつの区別は大切なのであろうが、
ここでは敢えて、どちらに対する処方かということにはこだわらず、
心の平和を取り戻し、幸せへの一歩を踏み出すために、
良いと思われるアドバイスをご紹介しようと思う。
私の周囲の苦しんでいる「あなた」、
少し耳を貸して下さい。
加藤さんは次のように述べる。
「今あなたにとって大切なことは、
 好きと嫌いの感情を回復して、
 嫌いなことを整理していくことである。
 (中略)
 燃え尽きる人は、引き受けなくてもよい、
 嫌いな仕事を引き受け過ぎている。
 (中略)
 しかし残念ながら相手は、燃え尽きる人を
 それほどまでに重んじていない。
 だから自分の心と体を守るために、
 自分はどれとどれを断り、
 どれとどれを引き受けるのかという
 優先順位をつけることである」。
「我慢する人は、憎しみを心の底に抑圧しながら
 ニコニコして生きている。
 規範意識も強い。
 まず全体のことを考えて自分のことを後にする。
 しかし喜んで自分のことを後にして
 全体のことを優先している訳ではない。
 悔しさや怒りを心の底にため込みながら
 全体のことを優先しているのである。
 (中略)
 心の底の抑圧された感情を吐き出せれば目的も分かるし、
 元気になれる」。
「間違った選択をしたうえで、忍耐力で頑張ると
 いよいよ泥沼に陥る。
 忍耐力はいいことでも悪いことでもない。
 望ましい選択をした時には望ましく、
 間違った選択をした時には
 忍耐力は傷を深くするだけである。
 努力とか忍耐はそれだけに危険なものである。
 (中略)
 自分がいるべき場所にいないために、
 頑張って、頑張って、最期に燃え尽きる人の
 なんと多いことか。
 (中略)
 たいていの場合には劣等感である。
 先見力の欠如と劣等感、これが優れて真面目な人を滅ぼす。
 (中略)
 あなたが最も影響されてはいけない人が、
 『あなたの不得意なところ』を価値があると言う人である。
 そういう人と心理的にかかわってはいけない。
 それはあなたのお金を盗む人よりも、
 あなたにとって害になる人である。
 決して心理的にかかわってはいけない。
 その人に何を言われても無視するのである」。
加藤さんは、好きなことに集中し、自分は誰にも責められていないことを
理解せよと述べる。
そして何よりも、「過去を断ち切って未来を信じる」。
断ち切ることは難しく、我慢するほうがよほど簡単だと
私たちは思いがちだ。
けれどもそれでは、自分が滅んでしまう。
勇気を出して、断ち切ろう。
離れよう。
抜け出そう。
まず、自分の心の悲鳴に気づこう。