枕草子 朗読講座 第1回

先月行われた源氏物語の朗読講座がとても楽しく、
また、その帰りに立ち寄った書店で注文して手に入れた
枕草子の本も面白かったので、
今月から、枕草子の朗読にチャレンジすることにしました。


加賀美幸子さんの6回シリーズの講座。
月1回、自分の声で、平安時代の世界を表現していきます。


今月が初回。
定員を超えるほど受講者が集まりました。
その大勢の受講者ひとりひとりに、
加賀美さんは順番に声をかけていきます。
皆、この講座で取り組みたいことを述べます。


そしていよいよ枕草子の朗読が始まりました。


加賀美さんは語ります。


「古典は日本の宝です。
 けれども、読まなければ宝となりません。


 私がなぜ、古典を読むのか。
 古典には、生き方のカギがあふれているからです。

 
 古典はズバッときます。
 カギを見つけやすいのです。


 私は、いつもカギを探しています。
 だから元気でいられるのですよ」。


枕草子の中で、清少納言は自分の感じることを
率直に書いています。
「うつくしきもの」、
「はしたなきもの」、「すさまじきもの」、「にくきもの」、
「ありがたきもの」、「ねたきもの」・・・。


共感したり、意外に思ったり。
次々に挙げられる事柄には、思わずくすっとさせられます。


中学生の時、暗記した「春はあけぼの」。


 春はあけぼの。やうやうしろくなり行く、山ぎはすこしあかりて、
 むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる。


「間が大切です」、と加賀美さんは言います。


「春はあけぼの。言い切っています。
 いいとか何とか、後に続けていません。
 
 春はあけぼの、そこで間をあけて、皆に考えさせるのです。
 作者と皆との応答なのです」。


間をどう表現するかが大切、というのは、
朗読、音楽、演劇など、すべての時間芸術に共通すると思います。


間、耳を澄ます。
間、意味を見出す。
間、心の揺らぎ、決意、悲しみなど、様々な感情を読み取る。
間、その時、表現者と鑑賞者は心を通い合わせる。
そしてまた、作者のメッセージを表現者、鑑賞者は受け取る。

間の取り方で、リズムが生まれ、力強さや優しさも、おのずと表されるでしょう。


加賀美さんの「言葉を寝かせるのでなく、立ち上がらせるのです」という助言が、
とても印象に残りました。


言葉を立ち上がらせる・・・。
それが心底わかるようになりたい、
そのように朗読ができるようになりたい、と思います。