セヴィアン・グローバーのタップダンス

東京・丸の内のコットンクラブ。
グランドピアノ、ベース、ドラムス、管楽器などの間に、
特別なステージがしつらえてある。
歓声の中、ステージに上がったセヴィアンは、
人なつっこい笑顔で踊り始める。
スピード感に、ぐいぐい引き込まれる。
とても細かいリズム、変化に富む音色。
足をどう使っているのか、まるでわからない。
目にも留まらぬ速さ。
セヴィアンは1973年生まれ。
12歳でブロードウェイにデビューし、
翌年、映画「タップ」に出演。
少年時代から大活躍だ。
セサミ・ストリートに5年間出演。
セヴィアンのリズムには、喜びが溢れている。
セサミ・ストリートを観た子供たちは、
きっと真似をしたことだろう。
一方の足を軸にし、
もう一方の足のつま先で、
コンパスのように半円を描くと、
キュ〜ッとすべるような音がする。
スローな曲で、キュ〜ッキュ〜ッと踊ると、とても優雅で、
コツコツ軽快に響かせるだけではない、
タップダンスのまた別の魅力が感じられた。
生演奏をバックにしているところが、
即興的な展開につながったと思う。
ドラマーと合図を交わすセヴィアン。
タップダンスとドラムスが、
交互にリズムのやり取りをする。
ドラムスが叩き出す複雑なリズムに対抗して、
セヴィアンの靴も、様々な音の世界を繰り広げる。
これが1足の靴の音なのか!
ドンッという大きな音から、シュッという繊細な音まで・・・。
タップってすごい!
帰り道は、とっても楽しい気分。
コットンクラブ玄関わきのエレベータに乗ると、
私の足も自然に動き、
カカ・・ンとリズムを刻んだ。