ニューヨーク在住の矢野顕子さんが、
現地のミュージシャンと共に、
ブルーノート東京のステージに現れた。
ベースは、ウィル・リー。
ドラムスは、クリス・パーカー。
4月の「ここが音楽堂!」弾き語りツアーでは、
「曲をいくらでも引き伸ばすことができる」、
「誰か止めてくれないと、止まらなくなってしまう」と笑い、
ピアノと一体になって、
緩急自在、天真爛漫な演奏を繰り広げた顕子さん。
今回のトリオでは、一転、タイトでスリリングな演奏を
聴かせてくれた。
リーやパーカーの、切れのいいリズム、
ズンと腹に響く音に、
顕子さんの不思議な歌声とピアノが、
カラフルな衣をまとうように、かぶさってくる。
化学反応の有りようが、独特で面白い。
スピード感溢れる曲が多く、
暑さも吹き飛ぶ爽快な気分を味わったが、
その中で、沖縄民謡の「てぃんさぐぬ花」では、
ゆらゆらきらきらした、香りが立ち上るような
サウンドを楽しんだ。
ニューヨークに住み、
現地のミュージシャンとセッションをしながら、
その中で、ジャズ的なものと、日本的なものを、
同時に膨らませ続けているのだろうか。
日本語の美しさや楽しさが、
顕子さん流のサウンドの中に織り込まれる。
その感覚は、ニューヨークにいるからこそ、
磨かれることなのかもしれない。