ミューズ達と巡る魅惑のヨーロッパ音楽旅

水の都ヴェネツィアに落ちる夕日、運河に浮かぶゴンドラ。
ため息の出そうな風景写真が、STB139のスクリーンに
映し出される。
そのヴェネツィアの女の子のための孤児院で、
かつて音楽教育を行った音楽家こそ、
あの『四季』で有名なヴィヴァルディ・・・。
ヨーロッパで自ら撮影した数々の写真を紹介しながら、
ユーモア溢れるトークを繰り広げるのは、
ナビゲーター役の朝岡 聡さん。
そしてミューズ達の登場。
作曲家、ピアニストの高橋千佳子先生を中心に、
ハーピストの岩城晶子さん、
フルーティストの上野由恵さん。
ヴィヴァルディの『四季』から「夏」の演奏の前に、
曲の解説。
“夏のけだるい気持ちをいっそういらだたせる”ハエの音を、
何とハープが担当するとのこと。
雷の音はピアノ。
嵐の後の、小鳥(ゴシキヒワ)のさえずりはフルート。
各楽器が、担当する役どころを奏でてみせる。
なるほど、ヴィヴァルディの意図が良く伝わってくる。
そして始まる演奏。
曲の構成、物語性がよくわかる。
演奏後、上野さんは、「鳥になりきって吹きました」と言い、
会場は笑いに包まれた。
中学校の教科書にも載っている、有名なヴィヴァルディの『四季』だが、
こんなに楽しく、興味深く聴くのは初めてだ。
ミューズ達は、息もピッタリで、演奏を心から楽しんでいる様子。
パッヘルベルの「カノン」、ラモーの「タンブーラン」、
ダカンの「かっこう」・・・、
以前から親しんでいた曲が、新しい魅力を持って、
目の前に現れたように思われた。
第2部では、ゲストのシンガーソングライターの村上ゆきさんも加わり、
ラヴェル風、マーラー風な世界にも、いざなってくれた。
そうそう、ヴィヴァルディで、まさに嵐の場面の演奏の時、
スイートベイジルの外では、何ごとか、ゴオーッという音が。
何と大雨注意報、雷注意報、さらに洪水注意報が発令されていたとのこと。
ミューズ達の迫真の演奏が、本当に嵐を呼んでしまったようだ。