岡本太郎さん・岡本敏子さん著 「愛する言葉」

生誕100年という記念の年を迎えた岡本太郎さん。
太郎さんの創造には、秘書でありパートナーであった
敏子さんの存在が不可欠だったという。
今を生きる私たちにもヒントを与えてくれそうな、
敏子さんの言葉を四つご紹介します。
 “男の人が転んじゃったり、失敗したらね、
  一緒に泣いてあげてもいいし、
  しょうがないなあと思ってもいい。
  大切なことは、やりたそうなときに
  けしかけてあげること。
  「あぁ、それはいいわね、あぁ、すごい!」って、
  言ってあげれば男の人はどれほど元気になりますか。
  男の子が元気になったら、
  女の子はもっと楽しくなるのよ。”
 “女の人がよくないと思うのは、
  男の子がなにかをがんばって失敗したとき、
  「ほらごらんなさい。あのとき言ったじゃないの」って、
  すごく情熱的になるところ。
  思い当たるでしょう?
  マイナスのときだけ情熱的になるのは
  女の子の卑しさなのよ。”
 “「ああ、それは素敵ね。やれば。
   私は見ている。あなたがやるのを、
   見たいわ」と言って、にこっとしてほしい。
  それによって、男は雄々しく、
  健やかになるのよ。”
 “もっともっと励まして、
  引き出して、
  より大きな夢に挑戦させたい。”
敏子さんは、決して男性の後をつき従う女性ではない。
太郎さんを紹介する本を出し、岡本太郎記念館を設立し、
精力的に活動した。
強さと優しさを兼ね備えた、心の広い女性だったのだろう。
縛ったりすがりついたりせず、
 “自由である、ということが
  男の魅力の前提条件だ”
と言い切る。
互いを大切にしながらも、自立し、
創造する力に満ちた人生を、共に送る。
それを可能にするのは、実は、ぶつかることを厭わないことだ。
最後に太郎さんの言葉。
 “ほんとうの対決というのは、
  自分を相手にぶっつけ、
  相手も自分にぶつかってきて、
  お互いがそれによって
  活きることが対決なんだよ。”