パット・メセニーの驚きのライヴ!

ブルーノート東京のステージでひとり、
パット・メセニーは、アコースティック・ギター
静かに奏で始める。
驚いた。
ドヴォルザーク作曲の交響曲第9番、第2楽章だった!
日本では「家路」、「遠き山に日は落ちて」という曲としても知られるが、
このオーケストラのための曲が、たった一本のギターによって、
イマジネーション豊かに再現されたのだ。
ライヴの冒頭から、聴衆は演奏に引き込まれ、
じっと聴き入っている。
パットの演奏を、今までほとんど聴いたことがなかったが、
一本のギターでごく自然に、メロディー、ベース、ハーモニーを
紡ぎ出すさまは独創的で、
ジャズギタリストという先入観を破るものだった。
2曲目からは、ニューヨークで活躍するベーシスト、
ラリー・グレナディアと共に、
アコースティックの世界を、さらに広げていく。
最後の曲で、パットはエレキギターに持ち替えた。
それまでとは異なる、
前衛的な、宇宙空間を思わせるような音色を発する。
後ろにかかっていたカーテンが、するするっと左右に開き、
何やら怪しげな装置が、ずらりと並んで現れた。
パットが作った、噂のオーケストリオン(自動演奏装置)!
噂でどれほど聞いていても、いざ目の当たりにすると、
やはり想像を超えるユニークさだった。
パットがギターで、あるフレーズを弾くと、
オーケストリオンが反応して、自動的に様々な音を発する。
パットの弾くギターの音程と強さに合わせて、
オーケストリオンのモーター仕掛けが動き、
装置に組み込まれた本物の楽器が演奏されるらしい。
鉄琴、木琴、オルガンなどの音たち。
とても可愛らしい音で、聴いていて楽しくなる。
装置のデザインも可愛くて、動きや光り方がとても愉快。
これからどんな風に、進化発展していくのだろう。