12歳のピアニスト、牛田智大くんデビューリサイタル

この3月、日本人のクラシックピアニストとして史上最年少の、
小学6年生(12歳)でCDデビューした、牛田智大(ともはる)くんの
デビューリサイタル。
東京オペラシティのコンサートホールで、
これほどたくさんの小さな子どもたちを見かけるのは初めてだ。
子どもからお年寄りまで幅広い世代の聴衆で、ホールは超満員。
プログラムの表紙には、「12歳の天使」などと
可愛らしいイメージで書かれているが、
牛田くんが演奏した曲は、非常に多彩で意欲的であり、
私は信じられない思いでいっぱいだった。
シューベルトショパン、リストはもちろんのこと、
グラナドス:アンダルーサ(祈り)(12のスペイン舞曲より)、
汪立三:組曲東山魁夷画意」より第4曲“涛声”、
プーランク:愛の小径、
プーランク即興曲第15番“エディット・ピアフを讃えて”、
ヒナステラ:アルゼンチン舞曲集 作品2。
特に、汪立三(中国)とヒナステラ(アルゼンチン)の演奏では、
独自の音楽観が感じられ、強い感銘を受けた。
昨年の大震災後、自分が音楽をする意味を問う日々を過ごしたという牛田くんは、
リストの「慰め」、グラナドスの「祈り」を演奏することにより、
自分の思いを表現したという。
この春から中学生になったとのことだが、
学校生活も楽しく充実したものとなるよう、陰ながらお祈りする。
このデビューリサイタルに立ち会うことができたという幸運を、
私は今後、何度も感じるだろう。