横山幸雄さん 3大ピアノ協奏曲の夕べ

横山幸雄さんの「デビュー20周年記念 3大ピアノ協奏曲の夕べ」が
サントリーホールで行われた。
満場の聴衆がじっと耳を傾ける中、
チャイコフスキー作曲の「ピアノ協奏曲 第1番」、
ラヴェル作曲の「ピアノ協奏曲 ト長調」、
ラフマニノフの「ピアノ協奏曲 第3番」の3曲が演奏された。
ラフマニノフは、来年2013年に生誕140年・没後70年を迎えるとのこと。
横山さんは今月20日ラフマニノフ作曲、ピアノ協奏曲の
第2番の方も演奏する。
また、三鷹市芸術文化センターで昨年11月から開始された
ピアノ・リサイタル・シリーズは、
「Voyage 〜 ショパンからラフマニノフを結ぶ音楽の旅路」というタイトルであり、
ラフマニノフの作品に本格的に取り組む意気込みが伝わってくる。
(ちなみに私は「ロシア3大ピアノ協奏曲」として、
チャイコフスキー第1番、ラフマニノフ第2、第3番”、さらに
「ロシア・北欧4大ピアノ協奏曲」として、
チャイコフスキー第1番、ラフマニノフ第2、第3番、グリーグ”を取り上げる
演奏会を望んでいる。)
パリ国立高等音楽院で学んだ横山さんは、
フランス近代の音楽も得意としており、
既にラヴェルの全曲演奏会も行っているそうだ。
それでも、私に最も強烈なインパクトを与えたのは、
チャイコフスキーだった。
小泉和裕さん指揮・東京都交響楽団の演奏も、
ダイナミックで情感豊かな演奏だった。
コンサート・マスターは、横山さんと数多くの共演を重ねている
矢部達哉さん。
矢部さんの存在が、どれほど大きいものかということは、
石橋メモリアルホールで行われた
横山幸雄さんのデビュー20周年の記者会見での話からも、
強く感じられる。

“長いコンサートへの取り組みについては、
 ぼくは2005年東京オペラシティコンサートホールで行った、
 矢部達哉さんがコンサートマスターをつとめる
 ジャパン・チェンバー・オーケストラとの共演による(指揮者なし)、
 ベートーベンピアノ協奏曲全曲演奏会が最初でした。
 このときの感動は今でも強く身体に記憶しています。
 あるところから緊張感がすうっとなくなって、
 終曲に近づくにつれてどんどん集中力が高まり、
 ただ音楽を演奏する喜びに満ちてゆくのです。
 「あぁ、このままいつまでも終わらなければいい」とさえ思いました。
 それは、矢部さんも同じような気持ちだったといいます”。

すぐれた演奏家たちが、互いに信頼し合い、高め合って音楽を生み出す・・・、
その無限の可能性に、思いを馳せずにはいられない。