東京・千駄ヶ谷の津田ホールで、
片野坂栄子先生のソプラノリサイタルが開かれた。
ピアノは高橋千佳子先生。
片野坂先生は、1960年代に国際コンクールで優勝して以来、
海外のオペラ公演に数多く出演。
現在も後進の指導を行いながら、
リサイタルを定期的に開いている。
毎年、非常に意欲的なプログラムで、
聴く者を楽しませてくれる。
今回は、イギリスのロジャー・クイルターの歌曲5曲、
スペインのマニュエル・デ・ファリャの「七つのスペイン民謡」、
滝廉太郎、山田耕筰、中山晋平の日本歌曲、
イタリアのヴェルディ、ジョルダーノのオペラ・アリア、
さらにアンコールもたくさん!
クイルダー、ファリャの歌曲は、
普段なかなか聴くことができないので、
貴重なチャンスだった。
ファリャ(1876〜1946)は、1907年にパリに出たが、
まもなく勃発した第一次世界大戦のため、
やむなくスペインに帰国。
「七つのスペイン民謡」は、1914年、そのパリ時代に作られた。
バレエ音楽「三角帽子」で大成功を収める前の、
若い時代の作品だ。
その独特のスペインのリズム。
ピアノも技巧的に難しく、
この複雑なリズムの伴奏に、
スペインの民謡の節回しを乗せていく様には、
スリルさえ感じた。
いつまでも若々しく、情熱的に歌う先生を間近にして、
すばらしい音楽を共にする喜びを味わった。