秋元康さん著 「企画脳」

大ヒットの仕掛け人、秋元康さんは、
おニャン子クラブ」、「AKB48」の生みの親である。
両方とも、若い女の子たちのグループだが、
企画の意図はまったく異なる。
秋元さんがその時代、その時代の中で、
ひねりを効かせたアイディアによって企画されたが、
それは、時代の精神を反映、といったものとも
違うようだ。
おニャン子クラブ」は、大手プロダクションが作った
既成のアイドル像に反する存在だ。
「中間テストや期末テストになると、
 平気で番組を休んでしまう普通の生活をしているアイドル。
 (中略)
 つまり、『管理しないアイドル』という裏切りの企画が、
 おニャン子クラブの独創性であったのである」
と、秋元さんは述べる。
一方、「AKB48」のコンセプトは、
「会いに行けるアイドル」だという。
「オーディションによって選ばれたメンバーが、
 専用劇場の『AKB48劇場』で毎日ステージを行いながら、
 全国区デビューを目指すというものである。(中略)
 たぶん、これからの多チャンネル時代、
 通りすがりの人だけを待っていても、
 観るものがいっぱいあるから、
 同じことをやっていては勝てるはずがない。
 だとしたら、定点でやろう。
 立ち止まって、そこだけで観られるようにしようと考えたのだ」
とのことである。
物やサービスがなかなか売れない時代に、
どういう発想で企画するか。
人と同じことを考えていてはダメだ、とよく言われるが、
この二つのアイドルグループの例を見ると、
独自の路線で行こうという秋元さんの徹底ぶりが、
はっきりと見て取れる。
秋元さんによると、売れる企画、勝てる企画を作るためにはまず、
「根拠のない自信を持てるか」であり、
「オレが負けるわけがない」と思い込むことから
すべてが始まるという。
秋元さんの言葉で、一番面白いのは、
「成功は98パーセントの運と、
 1パーセントの才能と、
 1パーセントの汗なのではないか」
である。
ここまで、運の比重が大きいのなら、
誰でも、思い切ってチャレンジをするべきだろう。
全編通して感じたことは、秋元さんが非常に明るい人だということ。
人と違うことを考え、予定調和を崩し、
世間の認識を裏切るような企画を立てて、成功させるためには、
非常に大きなパワーが必要だと思うが、
それには、まず明るい気持ちを持つことから始まるのに違いない。