西本智実さん指揮 夢の第九コンサート in 日本武道館

5000人の大合唱が、日本武道館にこだました!
TOKYO FM開局40周年記念のコンサート、
「夢の第九コンサート in 日本武道館」。
1. 年末の「第九」で、歌う側に回る
2. 日本武道館で歌う
3. 西本智実さんの指揮で歌う
と、3拍子揃った楽しいコンサート。
あっという間に本番を迎えてしまった。
TOKYO FMホールで19回行われた練習会にも、
たった1回しか参加できなかった。
練習会が始まったばかりの8月上旬、
ホールのある地下鉄半蔵門駅のホームに降りたものの、
猛烈な暑さにやられた私は、
ベンチにふらふらと腰掛けると、
そのまま動けなくなってしまった。
クーラーの効いた涼しいホームでしばらくじっと休み、
30分以上も遅刻して、練習会場へ。
楽譜を購入しようにも、受付には誰もいないし、
いろいろと大変だった。
1ヶ月に1回、合計5回くらいは参加するつもりだったが、
それっきり。
練習会参加の申し込みをするには、希望日の2週間前までに
手続きを済ませなければならないのだが、
秋からコマーシャルの音楽制作が入ることになり、
予定が立たなくなってしまった。
参加費も、1回につき2000円かかるので、
練習会参加はあきらめ、自習することに。
毎月第4日曜日にTOKYO FMで放送される番組、
TOKYO FM プレミアム・クラシック・ナイト
 〜西本智実 夢の第九への道」の内容を、
番組ホームページからダウンロードして作ってもらったCDを
聴くことにした。
パーソナリティーに初挑戦した西本さんが、
「第九」を歌うためのコツやポイントを伝授する、
という内容。
CDから流れる曲に合わせて、
張り切って歌の練習に励んだが、
家族が次々と病気になって、あわただしくなり、
ついに自分も風邪をひいて、声が出なくなってしまった。
そのようなわけで、CDで西本さんの解説を聞き、
あとは電車の中で楽譜を眺めながら、
メロディーを思い浮かべ、口をパクパクさせるという
イメージトレーニング主体の自習となってしまった。
本番前日、ミューザ川崎ホールで行われたゲネプロに、
恐る恐る参加した。
思い切って声を出してみたら、思ったより出たのでひと安心。
そして武道館コンサートの本番当日!
午前中は、次のコマーシャルの制作会議に出席し、
午後3時に九段下へ。
大勢の人々が、大きな荷物(恐らくタキシードやロングスカート)を
持ち、行列になって歩いて行く。
目指すは武道館!
大変な混雑で、途中で動けなくなり、
ソプラノ席に着席するまで、とても時間がかかった。
リハーサルを終え、ロングスカートを着用し、
本番を待つ。
オーケストラのメンバーが座るステージと、
一般の聴衆が座るアリーナ席の周りを、
ぐるりと取り囲む、5000人の大合唱団。
白ブラウスの女性ブロック、黒タキシードの男性ブロックが、
白、黒、白、黒、と整然と並ぶ様子は、壮観だ。
ステージに西本智実さんが現れ、指揮棒を振り下ろす。
「第九」の演奏が開始された。
第ー楽章、第二楽章、第三楽章・・・。
そして第四楽章。
真っ暗だった客席の照明がぱっと灯り、
ザッ! 
と合唱の人々が、立ち上がる。
私もまぶしさをこらえて、立ち上がった。
頭のてっぺんから、思い切って高い声を出す。
曲はどんどん進行する。
「フロイデ、シェーネル ゲッテルフンケン!
 ゲッテルフンケン!」
( 歓喜よ、神の美しき閃光よ!
 神の閃光よ!)
テンポが急速になり、駆け抜けるように
曲が勢いよく締めくくられた。
アリーナ席で聴いていた人は、興奮気味に語った。
「5000人の歌声に、360度ぐるりと囲まれた経験は、初めて! 」
雷鳴のような拍手に迎えられた西本さんも、笑顔で語った。
「終わる時、心臓が止まりそうになりました。
 後ろからも合唱が聴こえるのは、初めての経験です。
 すごいパワーでした。
 今日は、2キロくらい痩せたかも・・・」