ネルソン・ランジェルのニュー・アルバムに期待!

昨年の大震災の後、海外のアーティストの公演が次々にキャンセルになる中、
ネルソン・ランジェルは東京でライヴを行い、
次のように語った。
「この曲は、世界はひとつ、という意味の曲です。
 今、日本は大変な時だけれど、
 世界の人々が日本を心配していることを伝えたい」。
「日本は、今一番大変な時だ。
 海外アーティストの公演がキャンセルされていることを知っているが、
 こういう時だからこそ、僕は日本に行くべきだと思った」。


(2011年7月16日に当ブログ掲載の記事、
「マルチ・リード・プレイヤー、ネルソン・ランジェルのライヴ」より)


今年もネルソンは、ソプラノ、アルト、テナー・サックス、
フルート、ピッコロ、シェーカー、タンブリン(皮なし)、ウィンド・チャイムを携えて、
コットン・クラブに登場。
“Free As The Wind”、“Vonetta”など、軽やか、鮮やかなプレイで
楽しませてくれた。
今回の共演メンバーは、 De Marco Johnson (p,key)、Jeff Cox (b)、
Marcus Finnie (ds) 。
ネルソンが、普通のシマシマのTシャツなのに、
(開演前、薄暗いステージにしゃがみこんで、ひとり準備をするネルソンは、
しまのTシャツのせいで? アーティスト本人とは一見わからないが、
そのTシャツのまま、本番のステージに現れた)
ドラムスのマーカスがネクタイにジャケット姿なので、面白かった。
(ネクタイでキメているドラマーに、初めて会った)。
共演の3名は、カントリーのミュージシャンということだが、
若く、とても元気のよいプレイをし、いきいきとしている。


そして、お待ちかねの“SONORA”。
透き通るような口笛の、高い、高い音。
心を震わすようなこの口笛は、
一度聴いたら、決して忘れられないだろう。
会場は静まりかえり、皆、一心に、ネルソンの美しい調べに
耳を傾けている。
終演後、場内が明るくなり、店のBGMが流れても、
アンコールの拍手が鳴りやまない。
しばらくした後、ネルソンだけステージに再登場。
リズムを取るかのように、小さく、小さく、手を叩きながら、
澄んだ口笛を、もう一曲披露してくれた。


今回ネルソンは、ステージの上から私たちに語りかけた。
「僕たちの毎日は、明日も平穏に過ごせると
 約束されているわけじゃない。
 幸運に恵まれて、過ごすことができているんだ。
 だから、みんなお互いに優しく、親切にするべきなんだ。
 みんな、優しく、親切にしよう!」


会場を出ると、ネルソン自らがCDを販売、サイン会を行っていた。
ネルソンに、
「私、もう2枚持ってますよ。
新しいアルバムを待っています」と伝えると、
ネルソンはにっこり笑った。
「新しいアルバム、今、作ってますよ」。