日本でもタンゴ・ブームを巻き起こしたピアソラの、没後20年。
バンドネオン、アコーディオンの第一人者、リシャール・ガリアーノが、
ブルーノート東京に登場した。
ガリアーノはカンヌ生まれ。
4歳から演奏活動を開始し、
舞台「真夏の夜の夢」で劇音楽を担当していたピアソラ本人によって、
バンドネオンのソリストに抜擢されたという。
今回、ガリアーノは七重奏団「ピアソラ・フォーエヴァー」を率いて来日。
1曲目の“Tango Pour Claude(ガリアーノ作曲)”から、
情熱的な演奏を繰り広げた。
鍵盤がなく、本当にたくさんのボタンのあるアコーディオン。
何列もあるボタンを、目にも止まらぬ速さで触れ、
メロディーとハーモニーを激しく奏でていくさまには、
信じられないものがあった。
ソロで演奏したピアソラ作曲の“Libertango”。
同じボタンの超速連打の、何という迫力!
ボタンを叩いて(?)、パーカッションのように鳴らしたり、
メロディーと同じものを、哀愁を帯びた口笛で一緒に響かせたり。
様々な超絶技巧を、たっぷりと堪能した。
四角い形のバンドネオンも珍しかったが、
ボタンのたくさんついたハーモニカのようなものには、
見ただけでびっくり。
会場も充分盛り上がったところに、ゲストの寺井尚子さんが
ステージに姿を現した。
自由自在に、音楽のうねりを作っていく。
深みのあるヴァイオリンの音色が、とても魅力的。
二人の呼吸はぴったりで、ステージはますます熱く。
アンコールはお馴染みの“La Cumparsita(ロドリゲス作曲)”。
端正なリズムに、あふれ出しそうな情熱が秘められていた。