ルノワール〜伝統と革新〜

六本木の国立新美術館で、
ルノワール〜伝統と革新〜」展が行われている。
フランスの画家ルノワールは、1841年生まれ。
フランスでは、七月王政の時代である。
第1次世界大戦終了後の1919年に没するまで、
長きに渡り、精力的な創作活動を行った。
今回の展覧会では、印象派展に出展していた30代から
晩年の作品までが、展示されている。
また、X線調査、赤外線調査、蛍光X線分析により、
ルノワールの技法を科学的に究明しようとする
画期的な研究も、紹介される。
絵の具の塗り重ね具合や、塗り重ねるプロセスを調べ、
ルノワールの意図を推し測り、
絵の具を構成する材料の分析から、
ルノワールが好んで使った色を、年代ごとに探る。
晩年の彫刻作品も、出展される。
リューマチにかかったルノワールは、自らの手で制作できず、
リシャール・ギノと共作したという。
心に残ったのは、30代の頃のルノワール
女性を描いた作品。
「アンリオ夫人」、「縫い物をする若い女」、
そして「団扇を持つ若い女」。
単なる肖像画ではなく、女性たちの心の豊かさ、
生き生きとした暮らしぶりも伝わってくる。
肌や頬、唇の、温かみを感じさせる淡い色使い、
柔らかそうで、透明感のある髪の毛、
これぞルノワールの描く女性、という
魅力に満ちている。
背景の花や、帽子の飾り、団扇(うちわ)にも、
存在感があり、引きつけられる。
「団扇を持つ若い女」では、
当時流行した日本趣味が見られ、楽しい。
この作品が描かれたのは1879〜80年頃、
日本では明治時代に入って10年余り。
ルノワールが日本の風物を描くと、
これほどに柔らかい光を放つのだろうか。
ルノワール〜伝統と革新〜」は、4月5日まで。

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